いつの間にやらイースター

ヨーロッパで戦争が始まり、いつの間にやらニュースをあまり見なくなり読まなくなって、いつの間にやらソリの季節も過ぎ去って、そして今年もイースターがやって来て過ぎ去ってから1週間が経った。世界で何が起こっているのかを知る義務もあろうものの、最近はニュースを見ては落ち込み、読んでは何が真実なのかが曖昧ですっきりせず、やたらと生命力をそがれるもんで、知らず知らずのうちに国内外のニュースから遠ざかっていた。
何か脚色されたようなニュースではく、知りたいのは分析である。客観視された分析情報を手に入れることが、これほど難しくなったと感じたことは今まであまりなかったけれど、最近は特にそんな気持ちを拭えず、ついニュース番組やオンライン新聞からも遠ざかっていた(し、今でも遠ざかり気味)。

そんなこんなで今年もイースター(ブルガリア語ではヴェリクデン)がやって来て、恒例のイースターエッグとコズナック(特にイースターで食べられる甘いパン)を作ったもんね。発酵時間を急いだワケではなかったけれど、今年のコズナックは少し硬かったかなー。もうちょっとフワフワしててほしかったのだけど!今年は少し体調を崩していた義母に代わって、実家の分も作った。最近はパンを作る際のコネコネを、ホームベーカリーに任せていたので、久しぶりにコネコネが沢山できて楽しかった。やっぱり時々コネコネするのは楽しいや、と改めて思った次第である。

今年のイースター休暇は4連休。いつもなら、故郷へ帰る人達や旅行へ行く人達がこぞってソフィアを脱出するので、ソフィア市内は閑散とする休暇である。がしかし。今年はどうも通常とそんなに違わない感じであった。ガソリン、ディーゼルの値段がべらぼうに急騰したせいもあるかもしれない。ただでさえ電気、ガス、食品、全てにおいて物価が上昇しているのに加え、ロシアからのガスがストップしたもんで、一体全体これからどうなることやら。。。EU諸国(ポーランドとブルガリア以外)がロシアにガス代をルーブルで支払ったのに、「首相、どうしてブルガリアはUSドルで払ったんですかい?」と私は聞きたい。

それはさておき、イースターの日、人々は「フリストス ボスクレッセ(イエスは復活したのか)」という問いに「ボイスティナ ボスクレッセ(真に復活した)」と答える風習がある。キリスト教徒ではない私も一応国の風習に従いこれを述べるのだが、1年に1回の事だもんで、ついつい忘れがちになってしまい、今年もやっぱり忘れていた。

イースターの当日、まだ明日は1日お休みがあるっていうので、私達は車でソフィア近郊のサモコフへドライブしに行くことにした。

ソフィアから車で50分ほどのサモコフはジャガイモで有名で、美味しいジャガイモが手に入る。この日も私達はいつも購入するおいちゃんの所(と言っても店ではなく、道端でバンを乗り付けたおいちゃんが売っているだけの所)でネットに入った20キロ程のジャガイモを購入。自家製ハチミツと、ニワトコ(エルダーフラワー?)のシロップも購入。幼馴染がブルガリアに遊びに来た時に、こうやって道端で自家製のものを売り買いする光景が信じられない(彼はアメリカ在住)と言っていたが、ブルガリアでは至って普通の光景である。
このおいちゃんとこのジャガイモのみならず、色んなものがとても美味しいのダ。

いつもは中に入ることはあまりない、サモコフの町中にある修道院に入ってみた。
参拝客は少なくとても静かで、緑が光ってキラキラしていた。私が好きなブルガリアの景色である。

しばらくボーっとベンチに座って静寂と緑のキラキラを堪能し、お腹も空いたもんで、サモコフに来たらよく立ち寄るレストランへ直行。ランチとディナーのちょうど中間時間だったので、人もおらず、広いお庭は貸し切り状態だったラッキー!

前回サモコフへ来た時は(確か2月)、「サモコフ散策」という文化的な名目でやって来た。にもかかわらず、到着早々空腹を覚えた我々は散策するどころか一直線にこのレストランの前へ車を乗りつけ、「腹が減っては散策もできん」と意気揚々とレストランに足を踏み入れた。すると。。。
あろうことか、どこぞの誰かの何かの祝い事だとかで、貸し切り御礼ではないかいな!
ますますお腹が減ってきた私達は、仕方なくサモコフのその他のレストランを探さざるを得なくなってしまった。1軒探してまた満員。2軒目行ったらまた満員。これはもう散策どころではない。サモコフは大きな町ではなく、レストランなども数が限られている。
空腹を抱え、足早に食を求めて町をうろつく姿はまるで飢えた3匹のオオカミのようになっていたかもしれない。そして「ママ、なんで何かサンドイッチ持ってこなかった!」と母を責める息子に、「いつでもサンドイッチがあると思うなよ!」と暴言を吐き、10歳の子を相手に大人げないと反省する余裕もなく血走った目でレストランらしきものを探すのであった。

さて人間誰しも引き際というのも大切だもんで、我々は今回のサモコフ散策計画からはサッサと手を引き再び車を走らせて、ソフィアにほど近いこれまた時々訪れるレストランを目指したのだった。もう狼たちは車内無言である。あの「散策」を謳っていた頃の心の高揚など見る影もない。
そうしてたどり着いた「レストラン・31キロメートル」で、狼たちは好物のシケンベチョルバ(もつ煮込みスープ)と、キュフテ(ブルガリアのハンバーグ)を無事注文することが出来たのだった。

ようやく食べきったイースターエッグたち。
来年はひとつ、もう少し手のこんだ装飾をしてみようかなと思ったりしている。

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