私たちが住む地域には、地域民に長く深く愛されているファストフード店がある。その名もФантазияファンタジア。ブルガリアでドュネルと呼ばれる、いわゆるケバブの店である。ブルガリアのドュネルは普通シリア人で経営されている店がほとんどで、これはもう本場の味なのだろうと思われる。
我らの誇りファンタジアは、年中無休夜中の3時まで開いており、時間にかかわらずお客が入っており、いつも大体列ができている。時間帯によってその列は長蛇の列となり、店の外にまでお客があふれ出るという事態となる。そんな長蛇の列であっても、ファンタジアのおいちゃん、兄ちゃん達はそれはもうプロフェッショナルな手さばきの見事な職人技で、あれよあれよと数をこなしていくのである。すんごい数のお客とその回転の速さを見て、一体ファンタジアは1日にどのくらい稼いでいるんだろうと、目前の長蛇の列を目にドュネルを待ちながら頭で計算してみたことがあるのは決して私だけではないだろう。回転が速いもんで(私の頭の回転ではなくおいちゃん達の仕事の回転)、算数の苦手な私が計算をして結論を出す前にはいつももうドュネルが出来上がっており、はたして1日でどのくらい稼いでいるのか、まだ自分の中で結論は出せていない。
2~3年前の夏、我らのファンタジアが閉店するかもしれないという、地域民を震撼させる大事件があった。ある日いつものようにドュネルを買いに行くと、開いているはずのファンタジアのシャッターが閉まっていて、店の前にプラカードを手に座り込んでいる若者がいた。こ、こ、これは一体何が起こっているのか??と、動揺を隠しきれず、そこに居座っていた若者に訊ねてみると、どうも不正な立ち退きを迫られているようだとのこと。動揺を隠せずうろたえると、若者たちも動揺を露わにし、絶対許せないから抗議してるのだと言う。全面的に君たちをサポートするから共に頑張ろうと励まし合い、とりあえず私は家に帰り、衝撃的な事実をダンナと息子に告げ、3人で動揺しまくったのだった。
ダンナは早速フェイスブックでファンタジアのグループに入り、そこではこの衝撃に地域民の色んな動揺が見て取れた。フェイスブック上で地域民による不正立ち退きに反対する署名のようなものが出来あがり、もちろんここにも投票し、事の成り行きを見守るしかない状況がしばらく続いた。その間ファンタジアのおいちゃんの一人と偶然ばったり道端で会った時も、やっぱりおいちゃんも元気がない。状況はまだ分からないとのことだったが、おいちゃんには私達も全面に応援してるから!と願いを込めて伝えたのだった。
さてそれからどのくらいだったろうか。1~2か月ぐらいだったろうか。我ら地域の誇りファンタジアは帰って来た!!再オープンの暁の日には、それはそれは多くのファンたちが喜び合って待ちに待ったドュネルを買いに駆け付けたのだった。
これからもどうぞ宜しく、ファンタジア☆彡
