夏の思い出デュニ

先週の火曜日に、とうとう降ってしまった。雪が。
初雪が１１月下旬というのは、今年も暖冬なのか。昔はこの時期にはもう雪だらけで、日中の最高気温が氷点下のままという日々も多かったものだ。個人的には暖冬は嬉しいものの、これも地球温暖化の影響なのかと思うと、何とも複雑な気持ちである。

さて雪も降ってそろそろ寒くなってきたところで、一つ今年の夏の思い出に少しだけ浸ってみようではないか。

コロナの影響で結局今年も日本へは帰れず、その代わりに今年は毎年行く黒海のアフトポルに８月に行き、９月には初めてデュニと呼ばれるリゾートに行ってきた！デュニはブルガリア語で「砂丘」の意味で、黒海に面するこのデュニには確かに海岸沿いに小高い砂丘が続いている。
９月なんだから、ホテルもビーチもあんまり人はいないだろうと思って行ったのに、いるわいるわ、夏の終わりを惜しむ同類達が。。。！

デュニのホテルは全てオールインクルーシブなので、なんてったって私は朝から晩までご飯の用意を考えなくったっていい☆　なんとラブリーな☆　お腹が空けばサンドイッチコーナーもあり、午後のケーキタイムだってある。アイスクリームだって食べ放題！数年前のトルコ休暇以来オールインクルーシブは利用しておらず、それというのも、ブルガリア人であるダンナが母国ブルガリアのオールインクルーシブを信用していないという悲劇的理由によるのだが、とにかく数年ぶりのオールインクルーシブに、胸はときめいたのだった。あの輝かしいトルコのオールインクルーシブには及ばないが、それでも料理はとても美味しかったし、スタッフも親切だった。一人のシェフのおいちゃんは、かつてインドネシアで７年料理人として働いていたらしく、どおりでアジア風料理コーナーの味はなかなかのものであった。私が日本人であることを知り、「コンニチワ、ハイ、ハイ」と満面の笑みで日本語の挨拶をしてくれた。そしてその翌日のアジア料理コーナーには「テッパンヤキ」と書かれた立て札と、誇らしげに私を手招きしてくれるおいちゃんがいた。

デュニの砂浜はとても心地よく、ここもまたアフトポルのように遠浅で、海水はクリスタルだった。私たちが到着した日から３日間ぐらいはビーチもまだたくさんいたけれど、９月６日ぐらいからはさすがに少しずつ減ってきた。と同時にお天気の方も少しずつ下り坂になってきた。夏を惜しむ私たちは、それでも浜辺を散歩したり人気のないビーチでドッジボールをしたりと、去りゆく夏をこれでもかと言うぐらい最大限に満喫したのだった。

プールも良かった。プールが大きいというのに加えて、海に行く人とプールの人が分散するので、とても落ち着いて利用することが出来たからだ。ただ大人用のプールは深さ１４０ｃｍだもんで、身長１５０ｃｍの、しかも泳ぎが得意とは言えない私にとっては少し深かったけれど！手を伸ばしてすぐにプールの縁に手が届かなければならない。ので、大のオバはんがプールの縁を行ったり来たり泳ぐ姿は滑稽だったに違いない。それに引き換え９歳の息子は水泳を習っているため、足がつかないプールでもイルカのように泳いでいるではないかいな。

ところで私は一つだけ、このデュニ滞在において大きな後悔がある。それは、あのプールサイドで、どうしてThe Shadowsの曲を聴かなかったのかということ。携帯で、イヤホンで聴けたはずなのに、どうして忘れちゃったんだろうか。
ふと思い出したのだけれど、そういえば日本のプールではよくハワイアンミュージックがかかってはいなかったか？日本のプールの思い出には、いつも父が出てくる。母の水着姿というものを、私は今まで一度も見たことがないのだが、父とは海やらプールやらに一緒によく行ったものだ。特に思い出深いのは、箕面温泉スパーガーデンの高原プール。夏の暑いさなかに、父と二人で深緑の道を歩いて行ったあのプールだ。果たして今でもこの箕面温泉スパーガーデン高原プール（と書きながら頭の中には箕面温泉のコマーシャルのメロディーが♪）というのは存在するのか？とここでググってみたら、うっわー！！まだあるんだー！！懐かしいなあ。。。今度帰国した際には是非行ってみたいもんだなあ、数十年ぶりに。

今回この静かなプールサイドに横たわりながら、もしあのハワイアンな音楽がかかっていたら、あの箕面温泉スパーガーデンのプールに行った思い出がもっとはっきり思い浮かんでくるんじゃないかと思ったのだった。The Shadowsならば、携帯の中に入っている。あのプールサイドには、おあつらえ向きな曲だってたくさんあったはずなのに。どうして忘れてしまったんだろう。

今度静かなプールサイドに行ったらば、是非ともThe Shadowsを目をつぶってイヤホンで聴いてみなければ。遠い昔の父とのプールの思い出が、もっと鮮明に浮かんでくるかもしれないからね。