世の中では断捨離という言葉が飛び交う中、我が家には断捨離の反対語ともいえるコレクターが存在する。何を隠そう私の夫はすっごいコレクターなのである。生粋のオタクなのダ。
彼のコレクトするモノたち。それは、DVDにブルーレイ、フィギアにそしてコンピューターである。DVDやブルーレイは、好きな映画とアニメのコレクション。ブルガリア人もアニメファンは多いけれど、うちのダンナはその所有数においてはもしかするとブルガリアで1位2位を争うのではないかと本気で思っている。これはアニメ好きの私にも息子にも、まあありがたいことで、我が家では夜よくアニメ観賞会をするのだが(ところでアニメは我が家の場合息子の日本語のレッスンも兼ねている)、ありがたいことにその題材には事欠かない。
1つのアニメを見終わって、さあ次はどれを見るかとなると、ダンナはまるでワインを選りすぐるソムリエのように、コレクションの中から次なるものをチョイスする。もちろん我々(私と息子)の、「次はメカ系がいい」とか「宇宙系がいい」など、その時々の意見を尊重してくれるのだ。ソムリエだもの。
アニメ・フィギアに関しては、私も好きなもんであーでもない、こーでもないと二人で色々ディスカッションが出来るものの、さてコンピューターとなると、機械オンチの私には彼の熱情に共感してあげることが出来ないのが現実である。
コンピューターと言っても、これまたレトロコンピューターで、古いコンピューターの部品をオークションで購入し、自分で組み立てるのダ。CPUたらビデオカードたら、プロセッサーたらと一生懸命話をしてくれようとするのだが、私にはさっぱり「はぁ」という感じで何とも申し訳ない。好きな部品を購入して組み立てて、それが上手い具合に作動しようもんなら、彼は輝く笑顔で私に1~10までを説明しようとしてくれるのだが、しかし、私の両眼には大きな船が浮かび始め、「へえー」「ふうん」「ほー」としか言えないのである。両眼に浮かんだ大きな船はやがてCPUやプロセッサーやらの専門用語の波に乗り、黒海を渡り、果てにはスエズ運河まで行ってしまうのではないかと思われるくらいだ。ダンナよ、すまみせん。
昨日今日と、彼は愛するコンピュータールーム(と言ってもアパートメント住まいの我々にはちゃんとしたコンピュータールームがある訳ではなく、ボイラー室に手を加えてコンピュータールーム仕様にしただけ)の整理整頓、入手した部品のチェックを嬉々として行っていた。
私の両眼に再び船が浮かんだのは言うまでもない。






年末のある日、「ガンダム第08MS小隊」を見ていた時のことだった。
「あああっ!!!」と、すっとんきょうな声を発し、ダンナがソファから急に立ち上がり大興奮している。訳が分からない息子と私は「?」と顔を見合せ、ダンナに理由を求めると、画面に映し出されたアニメーションに、コンピューター部品の名称がズラリと書かれていたそうな。彼が日常的に目にしている名称が、はっと目に入った瞬間だったのダ。

それは、アニメオタクとコンピューターオタクが、神々しく合致した記念すべき瞬間だった!