ブルガリアのコロナ情勢(6)

諸外国ではワクチン接種者が増えてコロナ感染率も減ってきたとか、はたまた日本では通常営業に戻っただとか聞く中で、ブルガリアではコロナ第4波が押しよせてきている。27日には新規感染者数が6816名に達した。人口100万人あたりの1週間の死者数は何と世界ワースト2位という快挙に出た。28、29日とも新規感染者が5000人を超え、病院のベッド数もいよいよ足りなくなってきているらしい。もう集中治療室には空きがない。最新のニュースでは、病院で供給すべき酸素が足りなくなってきているようである。

かつて早急にコロナの対処を整え、死者数も新規感染者数も抑えた優等生のブルガリアはもうない。当時の政権はその後、自由を叫ぶ民衆に批判され、今年の3月に行われた総選挙では敗北。与党の座を去らねばならないという結果となった。しかしその総選挙では、与党連立が成立せず、結局7月に再び2回目の総選挙が行われることになった。ところがこの選挙でも与党が成立せず、来る11月14日になんと3回目の総選挙が行われる。どれほどの国家予算がこの選挙につぎ込まれたかと想像すると、もっと他に予算を費やさなければならないことが山積みだろうにと、腹が立ってくる。

さて政権が成立しない間、臨時政権として現に指揮を執っているのは大統領の指名による政権である。これがいかにも匂うのである。少なくとも個人的には、たいそう匂うのである。ブルガリアでは、大統領にはさほど権限はない。実質は首相率いる政権が権限を取っており、大統領の立場はアメリカやフランスのそれではない。
去年だったか、この大統領がこぶしを挙げて声高にボリソフ前首相のことを批判したことがあった。その時だけではなく、大統領の言動を目にし耳にするたびに、首相を批判しては民衆を分断するような振る舞いに、私は違和感を感じ続けてきた。
大統領が率いる政権は、今までコロナが増えてきたごく最近まで規制といった規制は施さず、へんてこりんな自由を叫ぶ民衆を鼓舞しているようにさえ見えてきた。ここで一つポイントがあるのだが、大統領選挙も11月14日同時に行われる。今の今まで何も規制を行わず、ワクチン奨励もせず、マスク反対ワクチン証明反対(先日からレストラン・ショッピングモールに入るには証明が必要になりました)と、はき違えた自由を叫ぶ人たちの票を手に入れようとしているようにも目に映る。

昨日は全くもって面白いニュースがあった。現大統領が、ところで彼はもちろん次期大統領にも立候補しているのだが、その大統領が何と選挙管理委員会の役員を大統領府に招いて懇談しようとしていたことが発覚。選挙管理員会がその事実を公にしたことで明るみになったわけだが、仮に懇談が成立していた場合この行為はもちろん違憲である。今回懇談は成立しなかったとはいえ、それを試みた事実だけででも十分なのではないかと思えるが、このことについては今日はもうニュースでは触れられていなかった。

レストランやショッピングモールに入るためにワクチン証明が必要となり、途端にワクチン接種者が増えたことや(結果的には良いことであるが)、学校の授業中にマスクを燃やした教師がいたというニュースを聞くにつれ、何ともやるせない気持ちになる。11月14日の選挙ではどうなることやらと、ふと去年の今頃はアメリカの大統領選挙関連のニュースを聞いては一喜一憂していた自分を、ふと思い出した。
ブルガリアが大好きだからこそ、こういう諸状況は何とも腹立たしく悲しくさえなるのだ。

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