クロロン

今日も朝から冷え込んで、まだ10月というのに人々はダウンジャケットやらブーツやら、革ジャンやらの装いで、街の色は急に暗くなってしまった。冬になると黒い服の確立がどっと増えるので、どこを見ても黒、黒、茶色、黒、グレーみたいな悲しい色合いが目立つのダ。色だけでも明るくしたいと、私はここ数年赤やら黄色やらの防寒着を好むようになってきた。

野良友の中で、我が家のベランダにやってきた回数が一番多い野良友=その名もクロロン=。一番多いと言ってもまあ3回だけなのだけれど!クロロンは、去年の夏の終わり頃から見かけるようになり、初めて見たときはまだ恐らく3~4か月ぐらいだった。それから少しして9月の終わり頃のこと、急にご飯を食べなくなり、猫じゃらしが大好きだったにもかかわらず猫じゃらしを見ても何も反応しなくなったことがあった。これはヤバい。ということで急遽我が家へ来てもらい、獣医さんに連れて行くことに。かなりの高熱で、注射とお薬の処置をしてもらい、とりあえず元気になるまで家で泊ってもらうことにした。その後薬のおかげで少しずつご飯も食べるようになり、結局4泊5日ぐらいのご宿泊の後、お外に帰って行ったワケである。これがクロロンご宿泊第一回目のことであった。

2回目は、それから2か月後ぐらいだったと記憶するが今度は避妊手術のためのご宿泊。推定5~6か月ぐらいになって、すっかりお嬢さんに成長したクロロンを、またいつもの獣医さんにお連れした。1回目の時は急を要する診察だったため、受付で名前を書いたり聞かれたり、という余裕はなかったのだが、今回は予めネコの名前も申し出て予約をしていく段取りである。

さてここで一つ問題が。
ブルガリア語で「クロ」という発音は、とても卑猥な響きを奏でるらしい。ダンナは病院へ連れて行く時だけでも「ブラッキー」やら「チェルニョ(ブル語で言うブラッキーの意)」に変えた方がいいと言う。そんな事を言われても、クロロンはクロロンであり、獣医さんの前でクロロンを励ましたい時に、本来の名ではない「ブラッキー」やらでどうやってクロロンを励ますと言うのか!そんなもん言語道断と見栄を張った私は手術の日、獣医さんの受付兼待合所で大っぱじをかくことになるのだった。

避妊手術はクロロンで4回目(ちゃんこ、小春ちゃんに続きその後チロちゃんが済)だったので、手術までの一貫の流れは知っている。受付兼待合所で、いくつかの質問に答えなければならない。もちろん名前も聞かれる。名前を変えるなんざ言語道断と啖呵を切った私はしかし、実はこの時少々びびってはいたのである。この日に限って待合所は結構な数の人々と犬や猫がいるではないか!人前で「クロロン」と名を告げることへの不安がよぎる。いやしかし、そんなことで怯んではいけない。堂々としていればいいのだ。クロロンに対しても失礼ではないか!

さて問診票を持ってお姉さんがやってきた。ただでさえガイコクジンが、なまりあるブル語で受け答えするシーンは、否が応でもスポットライトを浴びかねない。が、皆ジロジロ見るのも失礼と言わんばかりにシレーっと自分の犬やらネコやらの相手をしていそうに見える。お姉さんがいよいよ愛猫の名前の告白を迫った時のこと。何を隠そう私は、「クロロン」と言うのをはばかり、つい「。。ロロン」と最初の「ク」を言い濁してしまったのだ!言ったか言わなかったか自分でも分からないくらい絶妙に「ク」をうやむやにしたのであった。

が、それがいけなかった。はっきり聞き取れなかったお姉さんは、「え?もう一度モーリャ(お願いしますの意)」と言うではないか。この一瞬で私の中のモラルが揺れ動いたのは言うまでもない。恥ずかしいからと偽りの名前を言うのか、それとも恥を覚悟で本来の名を告げるのか!
「クロロンです」
その瞬間。犬やらネコやらの相手をしていそうだった人たちの、あの視線。。。。そして卑猥な言葉の響く余韻。。。
「クゥロロン?クロロン?」
あー終わった。
なんでそんなハッキリ言うかな?聞くかな? そしてダンナの助言が脳裏によぎった。( ところでダンナの助言はシリーズ化できるほどのエピソードあり(つまり助言を聞かずに痛い目にあったシリーズのこと))
意を決し「クロロンです。日本語でブラッキーの意味です」と、聞かれてもないのに意味を強調したりして言ったものの、まあ何とも恐ろしい瞬間だったことよ。

3回目のご宿泊は、今年の7月のこと。頬っぺたが腫れてきて、大きなこぶみたいな物ができてしまった。いつもの獣医さんへ行ったら、受付の人も先生も覚えていてくれて「クロロンだっけ?」とか何とか。あれは絶対にあの避妊手術の後、クリニックで噂になっていたに違いない。
それはともかく、先生曰くこれは多分他のネコにひっかかれて、そこからばい菌が入ったのだろうということだった。そのコブから、まあ出た出た大量の血が。。。
抗生物質を打ってもらいお薬ももらって、それから3日後にクロロンはお外に戻って行ったのでありました。

幸い今のところ元気そうにしているけれど、野良友にとっては辛い(おばちゃんにも辛い)寒い季節が始まりました。


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