ブルガリアで一番よく耳にする単語の一つにレモントという言葉を私は挙げたい。
レモントというのは、いわゆる修理修繕工事一般を指すもので、道路工事などにもレモントが使われる。家のリノベーションにもレモント。何かが壊れて修理するのもレモントである。語彙の豊かなブルガリア語にあって、これほど広範囲に意味を持つ言葉も珍しいのではないかと個人的に思っている。何はともあれ、日常生活でよく耳にする言葉なのだ。
ブルガリアではよく家の中を「レモント」する人をよく見かける。今風に言えば要するにDIYというのだろうか。私もその類のレモントが好きで、ショッピングモールへ行くよりもホームセンターに行く方がむしろ好きかもしれない。出来もしないくせに、色んなレモントの妄想をすることが大好きなのである。ダンナは一方、レモントには興味ゼロで、ダンナのお父さんはそのまた一方レモント上手なので、お父さんに指導を乞うことが多い。
去年の夏は、お父さんから何十年も前の綺麗なモザイクタイルを譲り受けたので、ベランダをちょっとレモントしてみた。レモント好きな血を私から受け継いでいる息子と一緒に試行錯誤しながらの挑戦だった。

出来上がり図が考えられたら、後はセメントで固めていくのダ!楽しい作業なのダ!!


とりあえずモザイクのメイン部分はこんな感じとなり、後は壁の色を塗り替える作業が残っている状態である。
レモントと言えば、忘れられない思い出がある。
まだ結婚する前の頃、当時交換留学でブルガリアに滞在していたはるちゃんと毎日のように会っていた。随分年下のはるちゃんであるが、とても仲良くなって、日々食べ歩きをしたり美味しいもの発見のための散歩をしたりしたものだ。(その違いは一体・・?)
はるちゃんは留学中、ストゥデンツキグラッド(student’s town)と呼ばれる地域にある大学の寮に入っていた。今でこそモダンな造りのアパートメントやお店もたくさん出来て、住み心地の良さそうな場所であるが、当時のストゥデングツキグラッド、しかも大学の寮と言えば決して住み心地の良いところではなかった。今では寮も随分改善されているらしいが、少なくとも12年前の寮は結構な状況であった。
健気な女子留学生のはるちゃんは、水漏れ、カビ、その他の状況を勇気を振り起して寮の管理人のおばちゃんに度々訴えていたが、おばちゃんは職務怠慢としか思えぬその態度を崩そうとしない。水漏れは何とかその後改善されたが、カビその他の問題部分が何も解決せず、とうとう自力でレモントする!という涙ぐましい決意を乙女のはるちゃんはしたのだった。
当時暇を持て余していたレモント好きな私もご一緒させて頂くこととなり、さっそく二人でホームセンターへ向かったのだった。
ダンナと知り合う以前のことで助っ人など誰もいない。女子二人でセメントやらタイルやらを購入し、タクシーで帰った。タクシーのおいちゃんも、セメント搬入を手伝ってくれたりと、なんやかんやで無事ショッピングは終わった。
このレモントは、実は寮の管理人のおばちゃんには了解を得ないまま実行に移すという、怖いもの知らずの外国人だからこそ出来たものかもしれない。でもはるちゃんは、何度も何度もカビルンルン、いや、怖い管理人のおばちゃんに訴えていたのだ。そう、私たちはおばちゃんをこう呼んでいた。カビルンルン。
何も贅沢を要求するのではない。基本的な生活環境の改善をお願いしてきたのだ。でも、でも、カビルンルンは何もしてくれなかったのだーー。と、自分たちを自己正当化し、私たちは着々とプランを実行に移すことにした。
さて私たちのプランと言えば、まずカビだらけのカーペットをはがし、貼るタイプのフローリングにすること。そしてコンロ周りや水回り周辺の床にタイルをしく。そして戸棚などの家具をペイントすることであった。
私ははるちゃんの所に数日間泊まり込みで、作業は3~4日続いた。この間、私たち二人の間胸中に浮かびっぱなしだった当時流行っていたセリフ「でもそんなの関係ねえ!」。カビルンルンに修理を咎められたら?「でもそんなの関係ねえ」。この棟の修理担当のおっちゃんが私達がレモントしているところを見たら?「でもそんなの関係ねえ」。このあまりにも古びた戸棚にペンキを塗ったのがバレたら?「でもそんなの関係ねえ」。カビだらけの床の敷物を取り替えたことを咎められたら?「でもそんなのまったく関係ねえ」話である!
【衣食住】という人間にとって大変重要な【住】に関し、改善しようとすること(しかもコレは決して贅沢なことを要求しているのではなく、本当に基本的に健康的に生活するために必須な環境を作りたいという要求)を聞き入れてももらえず、相談にものってもらえず、挙句の果てには横柄な態度で責め立てられ、何が寮の管理人というのだろうか!
かくして私達は対抗するが如く、大工道具を手に立ち上がったのである。
はるちゃんも私も、セメントなどを使った経験もなく、ましてタイルを貼った経験もなかったが、どうにかこうにか二人でリフォームをほぼ完了するに至った。そして食いしん坊な私達は、レモントをしながらも、その日の昼食、夕食、更には夜食、そして翌日の朝食について綿密な計画を立てながら、それを楽しみにしつつ頑張ったのだった。そしてはるちゃんは、如何に私達が、この【衣食住】の中でもとりわけ【食住】に関し密着した日々を過ごしているかを発見したのだった。
さてその後、レモントがばれてカビルンルンに小言を言われたらしいはるちゃんは、そんなこと全く気にする風はなく、返って「これだけ綺麗にしたんだから、逆に感謝してほしいです!」と、見事にたくましくなっていたのだった。
レモント、初めて知りました。
日本で流行ってるDIYみたいな感じですかね?違うかな…(^^ゞ
モザイク、かわいい~(#^^#)
はるちゃん、すごい!!(*^^)v
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そうです、DIYですかね今風に言えば!このモザイクは、お父さんにもらった時から使うのをワクワクしてました!今ではこういうのは、残念ながらあまり見かけないのでラッキーでした( *´艸`)
はるちゃん、すごいですよ~(#^.^#)
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私は、DIYとか全くダメなので、尊敬です!!
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私も得意というんじゃないんですよ〜!レモントの妄想はよくするんですけどね😆
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