野良友の手術~小春ちゃん編~

キャリーに入ったものの、それからパニックモードになってしまった小春ちゃん。ケージになんとか移動できたものの、ケージの隅で固まってしまった。私のことを見るその目は確かに「裏切者ニャ」と言っていた。美味しいご飯を用意して、食いしん坊の小春ちゃんのことだから、ご飯をモグモグ食べたら機嫌を直してくれるだろうと期待を寄せたが、答えは残念ながらNOだった。いつもの他猫(たにん)のご飯まで横取りして食べるくらいの勢いは皆無であり、私から「裏切者」を見つめる視線をそらす気配はない。
しばらくしてその視線はようやくちょこちょこお皿の上の美味しそうなご飯に注がれるようになったが、お皿を口元に持っていっても口を開けることはない。私も困ってしまって、そのエサを指につけて口元へやってみると、それはペロペロと食べ始めた。お皿では食べないのに、指からは食べる。しばらくそれを続けて、今度はいつも外でしているようにアルミホイルを受け皿にして与えてみると、ようやくガツガツと食べ始めた!やっと一つ前進である。

ご飯を食べ終わって、警戒モードが解除されるかと思いきや、食べ終わると今度は再びケージの隅で背を向けて固まってしまった。もう顔すら見せてくれないのである。あの懐っこい小春ちゃんの面影は全くなかった。しかもケージの柵にしがみついて、怯えているのだ。私は何てことをしてしまったのだろう、こんなに怯えさせてしまって私のしたことは間違っていたのかなと色々と思いながらも、小春ちゃんの気が少しでも晴れるまで背中を撫でることにした。そっとしておく方がいいかとも思ったが、ここで友情を回復できなければいけないんではないか、とそう思ったからである。
話しかけながら背中を撫で続けることおよそ1時間。小春ちゃんの様子が変わってきた。ふみふみを始めたかと思ったら、喉ゴロゴロ足ふみふみのオンパレードとなり、やっと私はほっとした。膝の上に抱っこして、十分甘えて頂いた。これまたちゃんこの時同様、せっかくリラックスしてもらったのに、翌朝は獣医さんへ行かねばならない。誠に申し訳ない限りである。
その後時折ケージの様子を見に行ったが、リラックスして柔らかい寝床でスヤスヤと小春ちゃんは眠っていた。

翌朝、何とかキャリーに移動してもらい、ニャーニャー鳴く小春ちゃんを連れて獣医さんへ。前回と同様書類に署名をして、小春ちゃんのことを色々聞かれた。6月ぐらいに出産しているはずの旨や子猫はしかし一度も見たことがなく、年齢も推測するに1才にもなっていないだろう事も伝えた。そして名前の意味を聞かれるだろうとスタンバイしていたが、何故なら今回は胸を張って言えるのだ、小春なのだから!スタンバイしていたが、しかし、誰も今回は聞いてこない!小春なのに、Little springなのに! 
聞かれなかったので、誰も聞いていないのに一応小春の意味を自己申請させていただいた。

ちゃんこの手術の時は早い時間に電話をくれたのに、今回はなかなか掛かってこない。どうしたんだろう、何かあったのではないかと心配していると、やっと連絡があった。避妊手術自体は問題がなく無事終わったが、実は乳腺炎になっていたというのである。お乳が中で固まってしまっていて、カチコチになっていたのだそうだ。猫が乳腺炎になることは割とよくあることなのだそうだが、小春ちゃんの場合はもう長い間お乳が出ておらず固まって、まるでタイルのように固くなっていたらしい。放っておくと非常に危ない状態で、抗生物質を投与してもらうことになった。退院は予定通り翌日の午後である。

退院してきた小春ちゃん。おばちゃんの手作りハンモックでくつろいでくれる。

迎えに行くと、小春ちゃんは昨日のような警戒モードはなく、ケージに入ってすぐに足ふみふみを始めた。美味しいご飯を食べてもらって、おばちゃんが作ったハンモックでくつろいでくれるようになった。さて乳腺炎の治療もしなくてはいけない。1日に2回、お乳に薬を塗る。そして後2回抗生物質の注射を受けに行かなくてはならいのだ。というわけで、小春ちゃんには予定よりも若干多くうちで泊まってもらわねばならないことになった。

小春ちゃんはその後相当な甘えたちゃんになり、よく食べよく寝てよく甘えた。手術の2日後に2回目の注射、その2日後に最後の3回目の注射である。お利口さんで、薬を塗るのもあまり嫌がらず、カラーを付けるのもそれほど嫌がらず、いつもの人懐こい小春ちゃんがそこにはいた。あの初日のまるで別人、いや別猫の小春ちゃんはもういない。お乳の方もだんだん良くなってきて、触ると固かった個所はだいぶん柔らかくなってきた。

そして3回目の注射が終わり、先生もお薬はもういいでしょうとのことで、いよいよ小春ちゃんをお外へ帰す時が来た。その前の晩、小春ちゃんに「また時々泊まりにおいで、痛い手術も注射も頑張ったね。お外で頑張るねんよ」と話をしていると、何だか寂しくなってしまって涙やら鼻水やら出てきた。鼻水が出てきてズルズルしていると、小春ちゃんは恐ろし気なこのズルズル音に恐れをなし、せっかくの最後の夜の歓談だのにそそくさとケージに入ってしまった。

お外へ戻った小春ちゃん

また時々泊まりにおいで、小春ちゃん!

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